第10章 01

同時刻、レッドコーラルの船長室。

ワイシャツ姿の南部が、壁際に備え付けられた机の前の椅子に座ってボーっとしている。入り口の扉は開け放たれ、カイトがそこに座り込んで、また本を読みつつウトウトしている。

南部(…なぜ、こんな…。レッドの船長になってもう10年以上も何事も無くやってきたのに…。)そこでメガネを外して机の上に置くと、暫し虚ろな目であらぬ方向を見ながら、静かに溜息をつき(…昔は周りがベテラン船長ばかりで…黒船のティム船長、ブルーのヴァリアス船長、シトリンの剣師船長…そういった方々に負けないように何とか頑張って来たのに…。…そして今、他船は代替わりして、私は人工種が乗る船の船長としてはアンバーの剣菱船長よりも長い、最もベテランの船長になった、だから今やっと自分が認められる時が来たと思っていたのに…。)若干悔し気な表情をしつつ溜息をついて俯くと(人工種は、歴史の浅い、生まれてまだ数百年の未熟な種だから人間が導いてやらねばならない…人工種管理とはその為の存在であり、皆を管理に従わせるのが人工種が乗る船の船長の役目だと…)

そこへ春日が船長室の入り口にやって来ると、眠るカイトを見て「あら。お休み中。」と言ってからカイトを避けつつ船長室の中に入ると南部に「一応、現況報告しに来ました。今、黒船がイェソド鉱石を採ってくれてて、それが終わったらジャスパーに戻るんじゃないかな多分。」

南部「…。」

春日「で、3日後の朝に源泉石採掘が始まるから、恐らく前日に出航だと思います。」

南部「私はどうなるんだ。」

春日「皆の邪魔しないなら、お仕事して頂けると助かりますけど、管理の言う事聞けとか言うならこのまま船長室にゆるーい監禁です。とは言っても本部に戻ったら貴方を船から降ろさないと、『船長どうした?』って事になるので降ろしますが…。」と言って言葉を切ると「…とりあえず皆の邪魔しないで頂ければ。」

南部「…つまり本部で何事も無かったかのように振る舞えと?」

春日「はい。特に管理の人々に対しては。」

南部は暫し黙ってから、机の上に置いたメガネを手に取りつつ「…君はなぜあの時、勝手に黒船に行ったんだ。」

春日「俺は丁度自由時間だったし、ヒマだから助っ人に行こうかなって。」

南部、メガネを掛けると春日を見て「なぜ、レッドに入った?」

春日「それは本部に聞いて下さい。俺は別にどこの船でも良かったんで。」

南部「…。」黙ってメガネの奥から春日を睨み付ける。

春日「…貴方が監禁されて、皆、以前より元気になりましたよ。」

南部「それはそうだろう。指揮する者が消えて規律が緩くなったのだから。」

春日「貴方は自分をこんな目に遭わせた人工種達を責めないんですか?」

南部「責める?」と怪訝そうに言ってから、言い難そうに「…まぁ、私の力量の無さが原因だからな。」

春日「って事はですね。もし貴方が管理に責められたとしたら、管理の力量が無いんですね。」

南部「は?」と訝し気に春日を見る。

春日「貴方という船長を、上手く使えなかったから。」

南部「…。」やや意表を突かれた顔をする。

春日「貴方は人工種達にこんな事をされても、自分が悪かったかもしれないと内省する。でも管理の人々はそんな事はしませんよ。人工種達が本気で反抗したら、言う事を聞けと銃撃して脅します。」

南部「!」

春日「知ってます?…遥か昔、人工種達が乗る船の船長って、銃を携帯してたんですよ。」

南部「…!」目を見開き驚いた顔で春日を見る。

春日「だって有翼種とケンカしてたから。人工種に反抗されたら人間の危機なんです。しかし人間は、有翼種と戦う為には人工種の力が必要だった。」

南部「…なぜ、そんな事を知っている…。」

春日「飲み屋で知り合ったどっかの製造師に聞きました。」と言うと、入り口で寝ているカイトを見て「おーっとカイト君の前でヤバイ話しちまった。寝てるかな?寝たふりかな?」それから南部の方を見て「人工種に着けられるタグリングってのは昔の名残で、いわば人間が人工種を恐れている証とも言えるんです。」

その時。カイトが「ふぁぁ」と欠伸をして両腕を伸ばしてんーっと伸びをすると、「あれ。」と春日を見る。

春日、カイトに「おっはよー。」

カイト「…輪太君は?」

春日「俺ちょっと様子見に来ただけだから。」

カイト「ああ。まだ交代じゃないのか。」と言って再び壁にもたれ掛かると「もうちょっと寝る。」

春日「また寝るのか!こんなとこで…。そもそも見張りだっつーのに。」と言うと南部を見て「んじゃ俺、行きます。」と言ってカイトを避けつつ船長室を出て行く。

南部「…。」



既に薄暗くなった雲海の遺跡では、採掘船のライトの明かりに照らされつつ3隻のメンバーが広場中央に集まって何やら相談をしている。中央の岩に座っているサイタンを挟んで満と陸が立ち、その3人を囲むように武藤や楓、礼一や春日たち各船メンバーが立ったり、椅子代わりの岩に座ったり、妖精と戯れたりして3人の会話を聞いている。

サイタン「面白くねぇ!…全く面白くねぇぞ、何だよあの凄ぇイェソド鉱石は!しかもあいつら、こんなド大量を短時間でサクサク採りやがって!」

陸「凄いポテンシャルですよね…。」

満「今まで内地で地べたを這いずり回って必死に鉱石を搔き集めていた我らの努力は一体。」

サイタン「こんなのフェアじゃねぇ!」

陸「でも、黒船とアンバーは自力でイェソドに出た訳で…。」

サイタン「うるせ。…1隻で1日に4隻分も採れるなら、俺ら要らねぇじゃねーか!」

武藤「じゃあ転職でもする?」

そこへ春日が「5隻でイェソドで採掘したら、毎日出航しなくてもいいかもなー。」

陸「そうですよね。休みを増やしても。」

満「しかし管理が…。」

春日「管理なんか無視すりゃ」

満「しかし先方にも人工種管理としての職務がある。我々の都合だけ考える訳にも…。」

春日(…この人もなかなか面白い…)苦笑。

サイタン「管理管理うるせぇな。なら源泉石バトルに勝って有翼種に認められりゃ文句ねぇだろ!」

満「それはそうだが。」

春日「1隻でも認められたら、今より楽にはなるよな。」

陸「残った2隻が地獄では…。」

春日「んじゃその2隻分を3隻で採ってあげたら?何はともあれ採掘量が全体的に上がって楽に」

武藤「前に黒船とアンバーがイェソドに出た時、総量が上がったのに俺はもっと採れと管理様に説教食らいまくったが…。」

春日「それは単なる八つ当たりを食らっただけでは…。」

そこへ満の背後に立っていた礼一が「あ、黒船とか戻って来た!」と声を上げて空の一点を指差す。夕闇の空の遠方に微妙に光る点が見える。

満「来たか…。」

サイタン、満に「オイ。マジで共闘しねぇか?」

満「と言うと。」

サイタン「テメェ、1隻だけでバトルに勝てる自信あんのかよ、最下位野郎!」

満、サイタンを睨んで「その物言い、聞き捨てなりませんな。我々も本気を出せば」

サイタン「ほぉー。以前、黒船を止められなくて奴らをイェソドに出しちまったのはどこの船だ?」

満「そっ、それは…。」と言うと右拳を固く握り「この十六夜満の一生の不覚…。あの時、黒船を止めておけば、駿河が黒船から逃亡する事も無かったのに…。」

春日、首を傾げて「…逃亡したのはカルロスさんでは?」

武藤、満を指差し「この監督の脳内解釈ではどっちも逃亡した事になってる。」

サイタン、陸に「おい、そこの黄色。」

陸「…俺?」とサイタンを見る。

サイタン「テメェまさかレッドに勝てるとか思ってねぇよな?」

陸「…勝ち負け以前に、何で源泉石を採るのかなぁと…。」

サイタン「んなモン、楽しいからに決まってんだろ!」

陸「へ?!」と驚く

サイタン「毎日毎日クソ管理と船長にウゼェ事を言われながら鉱石採って楽しいのかテメェは!」

陸「い、いや…。」

サイタン「せっかくこんな、暴れられるチャンスが来たんだ、暴れやがれ!」

陸、目を丸くして「…暴れる…。」と唖然として「だけど、…管理が。」

サイタン「知るか!」

陸「だって銃撃するような管理なんですよ!」

サイタン「威嚇にビビッてんじゃねー!」

陸「威嚇ではない事をしてきたら、どうするんですか!」

サイタン「縄で縛って監禁しちまえ!」

途端に全員が爆笑する。

そんな話をしている間に黒船とアンバーそしてカルセドニーが広場の空いている場所に着陸する。

サイタン、フン!と鼻を鳴らして「どいつもこいつもお利口さんなイイコになりやがって!少しは暴れろ!」

陸「…マジでレッドな…。」

ジュニパー「ホントにレッドな人よね…。」

そこへ満がサイタンに「一つ伺いたい。…共闘したいという事は、レッドは自信が無いと?」

サイタン「テメェらに勝つ自信はあるが、黒船に勝つ自信はねぇ!テメェはあんのか!」

満「…勝ちたいという決意と心意気だけはある!」

陸、ちょっと口籠りながら「…俺、レッドには、勝つ自信はあるけどな…。」

途端にサイタンが「はぁん?」と陸に対して凄む。

陸「全力出したら頑張れる気がします。だって鉱石採掘では同レベルだし。」

サイタン「こっちだって全力出したらシトリンに勝つ自信あるぜ?」

陸「って事は今まで全力ではなかった?」

サイタン「だからウゼェ船長を監禁したんだよ!」

そこで春日がボソッと「そして獣が目覚めた…。」


黒船とアンバーそしてカルセドニーの面々は、タラップを降りて3隻の皆が集う広場へと向かう。

総司、歩きながら周囲の一同を見回して(6隻が一堂に会するのは初めてだな…。)

広場の中央に近づくと、サイタン達の会話が聞こえて来る。

サイタン「とにかく3隻で共同戦線を張って奴らと戦おうぜ!」

陸「…何で黒船と…。」

その声に、総司やジェッソが驚いた表情になる。

総司(今度は何事?)

サイタン「テメェは問答無用だ!」と陸の首にガッと自分の腕を回して自分の方に引き寄せる。

陸、苦し気に「うっ…。そんなー。」

満は腕組みをして「まぁ、確かに3隻で不毛な争いをするのは本意ではない。が、一つ条件がある。」と言うと「アンバーも潰すと言うなら共闘に参戦しよう!」

途端に剣菱や穣が目を丸くする。

総司(あらまぁ…。)

サイタン「望む所だぜ。どうせ黒と茶色はベッタリだしな。」

満「よし、今ここに3隻連合が誕生した!我々は協力して黒船とアンバーを倒す!」

春日「倒すのはいいけど選考に合格しないと!」

武藤「黒と茶色倒して3隻も不合格なら全員共倒れやん…。」

陸、サイタンの腕から逃れようともがきつつ「あの、3隻のどれが選考に合格するんで…」

満「出来るだけ3隻共合格したいものだが。」

サイタン「どの船が受かるか知らねぇが、ともかく全力であいつらブッ潰せたらどっかの船は受かる!」

春日「なるほ。」

武藤「なーる!」

そこへ穣が「あのー。なんか凄い話になってる気がするんだけど!」

サイタン「聞いて驚け3隻でテメェらブッ潰ーす!ガチで勝負するから覚悟しやがれ!」

陸、クッタリしながら「強制連行された…。」

穣「待って、黒船はウチのライバルよ? アンバーも入れて4隻で黒船潰すって案は」

すると満が穣を指差して「貴様とは断じて手を組まん!」

穣「…それは分かるがこの事態…。ウチの船の立場はぁぁ!」と天を仰いで頭を抱えると「せっかく黒船とガチ勝負できると思ったのに!」

ジェッソはサイタン達を見て「つまり、どの船も1隻では黒船に勝つ自信が無いと。」

サイタン「当たりめーだ、1隻で4隻分採るようなアホと張り合えるか!」

ジェッソ微笑み「褒められた。」

総司も苦笑しながら(…管理の事が吹っ飛ぶ位、楽しい…。皆、こんな楽しい奴らだったのか…。)

満「せめて我々も選考に勝ってイェソドに出て、貴様らに恩返しをしなければならん!」

陸「それを言うなら借りを返す、では…。」

穣「ウチはどうすりゃーいいんだ!黒船と手を組んで3隻と戦うのも楽しそうだが、黒船とタイマンもしたい!」

武藤「3隻と黒船が戦ってる間に1隻だけ抜け駆けして合格するっつー手が!」

剣菱「おお漁夫の利!」

穣「ええー!そんなんつまんねーし!アンバーも仲間に入れて!」

すると満が「心配するな穣、貴様はこのブルーがぶっ潰してやる!」

穣「黒船がいいー!」

満「穣!…貴様の相手はこの私だ、覚悟しておけ!」

武藤「あんまり穣って連呼すんなや…俺が脅されてる気分になる。武藤実だから!」

満「紛らわしい!」

穣「そもそも俺、黒船と遊びたくて選考に参加したいって思ったのに。余計な奴が」

満「余計だと?」

そこへ護が「…もー、何か知らんが参加する船がこんな増えて、しかも皆、ヤル気出しやがってー!…俺は大死然採掘に参加したいー!その為にずーっと頑張ってるのに!」

穣、護を指差し「頑張れ!」

カルロスも「頑張れ。」

駿河「少なくともカルさんいるから探知だけは」と、その時。

ジュニパー「あっ、ねぇカルちゃん!アタシ達に探知講習会してくれなぁい?」

カルロス思わず「へ?」とジュニパーを見る。

ジュニパー「源泉石の等級とか」

カルロス「ああ聞いた。…そんなタイトルなのか。いいけど今日はもう疲れたぞ…。」

そこへ武藤が「そういや明日は黒船は休みでええんでは、という話が」

総司「おお。」

春日、手を挙げて「あのー、思うに3日後から源泉石バトルで一週間フルに出るんだったら明日は全員休みでもいいんじゃないかと!」

その言葉に楓も「同意見です!そうじゃないと10日間通しで勤務になっちゃうし…。」

剣菱「アンバーは明日も出航だ。昨日休んだから流石に休めない。」

総司「では明日はアンバーとカルセドニー以外は休みで。」

駿河「待った、出来ればカルセドニーも休みたいです護さん!休みませんか!」と護を見る。

護「んでも管理のせいで昨日と今日のイェソド側の稼ぎが…。マルクト石採掘がぁ」

駿河「イェソド側の稼ぎは源泉石で稼げるし、明日は俺を休ませてくれ疲れました!」

護「え、疲れたの。じゃあ仕方ないから休む。」

駿河「護さんも明日ゆっくり休んで源泉石バトルに全力懸けて稼いで合格もすればいいんだ。」

護「なんかライバル増えたような気がするけど頑張るわい!ちくしょー!」

駿河「カルさんだけ出勤!」とカルロスを指差す。

カルロス「どこに…?」

剣菱「つまりウチの船で探知講習会って事だな!」

ジュニパー「カルちゃん宜しく!期待してるわよ!」

クォーツ「宜しくお願いします!」

更に上総も「俺も参加するー!」

カルロス「…仕方がない、5隻の探知、全員まとめて特訓してやる!」と言うと剣菱に「明日、アンバーは何時に出航?」

剣菱「ん?…3隻は明日休みだから積み荷を降ろすの遅くなってもいいかな?」

楓「はい。」

武藤「オッケーです。」

サイタン「いいぜ。」

剣菱「んじゃアンバーと黒船が先に積み荷を降ろすって事で…明日は9時頃出航出来る。」

カルロス「では9時までに5隻の探知はアンバーに集合。」

剣菱「何人ウチの船に来るんだ、探知講習会。」

カルロス「探知は合計で…7人いるので、マリアさん以外の6人です。」

剣菱「アキさんに言って昼飯の追加分準備しないと。」

カルロス「お手数かけます。」

穣「ところで選考スタート日の事だけど、朝7時にケセド集合だから、アンバーは前日の夜に出航してターさんの家の前に泊まってカルセドニーと一緒に翌朝出発するつもりだったんだけど、皆さんどうする?」

武藤「どうするも何も俺らはワカランからアンバーに合わせるわー。」

総司、剣菱に「前日は何時に出るんです?」

剣菱「21時出航。」

総司「補給は何日おきに?」

剣菱「その時の臨機応変だが一応三日採ったら戻る予定。ケセドでも補給できるが一応ジャスパーの本部に戻らないと。」

駿河「ケセドは基本的に有翼種の船が優先だから時間かかりますよ、特に排水処理は…。あと給水は、ちゃんと純水って申請しないとイェソド鉱石水入れられますし。」

3隻の一同、驚く「ええ!」

駿河「ちなみに皆さん、いつか有翼種の街に行く時の為に…。もし石茶屋行ったら注文する時に『鉱石水ではなく普通の水で』と一応言わんとダメです。」

武藤、怪訝な顔で「石茶屋?」

駿河「え」と言って武藤を見て「ああ、有翼種の世界にはイェソド鉱石水で淹れる茶がありまして」

武藤「とんでもねぇ茶が」

駿河「普通のカフェは大丈夫なんだけど、どこぞの探知人工種が凄い石茶愛好者で休憩時間にいつも石茶カフェ行くんですよ。だから俺もそこに行くんだけど、何も言わんと普通に紅茶頼んだらカルさんが待った、飲むなって言うから何かと思えば『それ鉱石水で淹れた紅茶だ』って。」

春日、苦笑して「すげー…。」

武藤「こっわ!」

カルロス「まぁ中和石の腕輪着けてるから死にゃしない。」

駿河、自分の手首に着けた中和石を指差し「もしこれ着けて無かったら?」

カルロス「それでも死なないけど」と言って暫し黙って駿河を見る。

駿河「けど?」

そこへ武藤が「それ中和する為の腕輪だったのか。駿河、何やらキレイな腕輪着けて随分オシャレさんになったもんだなぁと」

駿河、武藤に「ちがーう!人間がイェソドで暮らす為にはこれが必須なんだよ!」

武藤「よくそんなとこに」

カルロス「…あの紅茶、人間が飲んだらどうなったんだろうか。いつか飲ませてみるか」

駿河「って人体実験する気か!」

カルロス「死なないのは確実だから大丈夫だが操縦士が倒れると困るからやめよう。」

駿河「とにかく…なんだっけ。ああ!給排水施設では、純水の申請をお忘れなく。最初に施設の人が確認してくれるけど万が一って事もあるので。」と言うと「ただ純水ってチト高いんで、有翼種の船は皆、給水タンクに鉱石水を中和するフィルタ付けて自分の船で純水にしてる。だからカルセドニーも同様にタンクにフィルタ付けました。」

武藤「…ケセドで安心して給水出来るの黒船だけやん…。」

駿河「いや!俺みたいな人間が黒船乗ったら水が鉱石水だったとか怖すぎるから、出来るだけジャスパーで!」

穣「食料に関してはケセドでも調達出来るけど。」

駿河「あ、そうか。5隻は源泉石を降ろした時にすぐ現金貰うのか。ウチの船は選考後にまとめて振込です…イェソドの銀行口座に。」

武藤「ちなみに人間が食うとヤバい食材とかあるん?」

駿河「食べ物は無いな。危険なのは石茶だけ。街中の、飲料用の水道なら普通の水だし。」

剣菱「…まぁ5隻がジャスパーに一週間も帰って来なかったら管理が発狂するので戻って補給しよう。」

武藤「ちょっと発狂させてみたい気も」

サイタン「同感だ。」

穣「あと何かありますか!」と一同を見回す。

サイタン「…特にねぇな。」

陸「無いです」

そこへ駿河が「んん?今からジャスパーで明日が休みって事は、次にターさんの家に戻るのは前日か!」

護も「あ、5隻と一緒になるのか。21時出航だとターさんの家に着くの深夜になる、カルセドニーはもっと早く出よう!…18時頃でどうかな。」とカルロスを見る

カルロス「いいよ。」

駿河「うん、じゃあ前日、カルセドニーだけは18時に出ます。」

総司「了解。ではジャスパー戻りますか。」

武藤「戻る時に管理様が邪魔してきたら、頼むわ駿河。」

駿河「だから何で俺!」

総司、駿河を見ながら(…確かにこの人が居ると、絶対大丈夫って思える…。)

6隻の船は遺跡から飛び立ち、カルセドニーを先頭にジャスパーへ向かって夜空を飛ぶ。