第18章 03

一方、ブルー、レッド、シトリンの3隻はゴツゴツした大きな岩が並ぶ荒れ地の岩山の麓で採掘をしていた。

白く光る源泉石の巨大な壁を、シトリンでは要が発破で亀裂を入れ聖司がツルハシでそれを崩し、ブルーではアッシュと進一がツルハシで壊し、レッドではサイタンがツルハシや斧で崩して、崩した源泉石は他のメンバー達が、どんどんコンテナに入れて行く。

ターナーは崩した源泉石をシャベルでコンテナに入れながら「…ウチは爆破と怪力で、ブルーは怪力が2人で壁を崩しているのに、あの人、一人であんなに壁を崩してる。」とサイタンを指差す。

陸、それを見て「あれは野生児だから。」

するとそれを耳にしたアッシュが「負けるものかぁー!」と叫んでツルハシで石壁を崩すペースを上げる。

進一も「野生児に負ける訳にはいかぬ!」とガンガンとツルハシで石壁を崩しまくる。

サイタン「野生児野生児ウルセェな、オメェらも野生児になりやがれ!」

そこへ満が溜息をついて「私も野生児になりたい…。」

一同、思わず作業の手が止まって満を見る「…。」

アッシュ「…監督は野生児の対極に居る人のような気が」

満「どういう意味だ。」

陸「つまり文明人?」

サイタン「アホか!そしたら俺が野蛮人になっちまうじゃねーか!」

ウィンザー「それを言うなら原始人では…。」

アッシュ「あんな原始人に負けるものかー!」と更にツルハシで石壁を叩きまくる。

ターナーも「そうだ原始人に負けていられない!」と必死にコンテナに源泉石を詰め始める。

サイタン「人を原始人にすんな!せめて野生児にしとけ!」

一同、笑いながら作業を進める。

陸(…楽しいな…。こんなに仕事が楽しいの、初めてかもな。)

コーラルもニコニコしつつ(たーのしい!)

カイトも(3隻一緒に仕事をすると、こんなに楽しいとは…。)

輪太も(…楽しい!いつもこんなに楽しかったらいいのに)

満(…全く、面白い奴らめ…。何やら本当に楽しいな、…しかし…。)そこで若干曇った顔になると(…この源泉石採掘が終わればまたジャスパーに戻るのか…。すると管理が…、またあの灰色の時間が…いや、今は考えずにおこう。今はこの楽しい時間を存分に楽しむのだ…。)


レッドのブリッジ前の通路では、クォーツ達が次の採掘場所の探知をしている。

礼一「さぁ綱紀君!選んでくれ、赤か青か黄色なのか!」

綱紀、悩んで「…どれも同じ感じで選べない…そもそもこれは…。」と言って「三つとも12時方面だし、同じ場所なんじゃなかろうか…。」

クォーツ達「!」

クォーツ「それは有り得る。」

ジュニパー「なら、もうそこで確定?」

礼一「いや!まだだ。まだ戦いは終わっちゃいない!…こうなったら各自全く別方向を探知する!」

綱紀「なーる…。」

ジュニパー「最初からそうすれば良かった!」

クォーツ「じゃあ赤は9時、青12時、黄色は3時方向を探知する…12時はさっきのとこか。」

礼一「よし俺はそのままだ。」

ジュニパー「アタシと王子が探知ね。」

クォーツ「だから何で俺が王子…。」

ジュニパー「いいじゃなぁーい!」

礼一「一応褒められている!」

クォーツ「…。」


ブリッジ内では船長席の南部と操縦席の春日が通路から聞こえて来る探知メンバー達の会話を聞いている。

南部、何気にぽつりと「…賑やかな探知だな。」

春日「楽しそうですねぇ。」

南部「なんか皆、以前とは比べ物にならない程、元気になってしまった。…私が黙って何もしない方がいいんだな。」

春日、ちょっと笑ってしまう。

南部「…管理も、余計な事をしない方が、皆が元気になる。」と言って溜息をつくと「管理を何とかした方が、いいと思うんだが…。」

春日「その気持ちだけで十分ですよ。貴方が何もしなくても。」

南部「…そうか。まぁ、そうだな。…余計な事は要らないな…。」

そこへ通路から礼一の「よっしゃあ二連勝!」という叫びが聞こえると、礼一がブリッジに駆け込んできて「次の場所は12時に決定!このまま真っ直ぐずーーーっと行って、ちょっと左よって下がった所です!」

春日「分かったけどナビしてね。」

礼一「合点承知!」と言うと通路の方に振り向いて「初回も二回目も俺の探知が採用されるとは!いぇーい!」

クォーツ「くっ…。次こそは絶対に!」

ジュニパー「そうよこのお坊ちゃまに三回も勝たせちゃいけないわ。探知の厳しさを教えてあげなくちゃ!」

綱紀、床に座り込みつつ「そうだ…俺なんかこんなにクッタリ疲れてんだぞ…!」

礼一、自分を指差し「俺ほら、絶賛図に乗り中だから!」

ジュニパー&クォーツ「自分で言うな!」

南部、溜息ついて「…元気なのは良い事だ…。」

その言葉にふと、礼一は南部を見ると「あっ…騒ぎ過ぎました?」

南部「いやいいんだ。」

するとクォーツが「ダメです船長!こういう奴こそ厳しく締めないと!」

礼一「えっ俺、以前は満さんにスパルタされたよ!」

クォーツ、礼一を指差しつつ南部に「船長!こういうの締めるの得意でしょう!説教して下さいよ!」

南部「…。」困って「…以前だったらブリッジでは静かに!…と」

礼一「ウチの満監督だと『貴様、ブリッジで騒ぐとは船長にご迷惑がかかるだろう!』って凄むんですけど」

南部「…(汗)。…まぁ、あれだ。…ブリッジでは静かにしなさい!」

礼一「ハッ!分かりましたラスボス!」

クォーツ「ラスボスて!」

礼一「だってラスボス船長やん!」

ジュニパー「ダメよラスボスって倒すものでしょ!倒さないならラスを抜いてただのボスにしなきゃ!」

綱紀「ラストじゃないボスか…。」

礼一、爆笑しまくっている南部と春日を見て「…メッチャ笑わせてしまったので以後、静かにします!」

南部、笑い過ぎてメガネを外して涙を拭う。

クォーツ「…こんな笑ってる船長、初めて見た…。」


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