第21章 02

一方その頃。

駐機場のブルーアゲートの食堂では、アッシュ達がコーヒーを飲みつつグタグタしていた。

アッシュ、テーブルに突っ伏しつつ溜息ついて「…ヒマだー…。」

進一も「ヒマだなー…。」

歩は黙々とスマホで何かをしている。

キッチンではメイが昼食を作っていて、マリンがそれを手伝っている。

アッシュ「…メシ食ったら何すんだろ…。」

進一「さぁー」と言ってコーヒーをズズズとすする。その隣でクリムゾンレーキがテーブルに両肘を付き手に顎を乗せてボケッとしている。

そんな一同を見かねたメイが「そこ!暇ならテーブルでも拭いといて。」とカウンターに濡れ布巾を置く。

アッシュ「…12時まであと10分ある。10分後に拭きます。」

メイ「そんなグタグタしてると満監督に怒鳴られるよ!」

マリン「暇ならゲーム部屋に籠って遊んでりゃいいのに。」

アッシュ「んー…。」

メイ「前はひたすらゲームしてた連中が。」

進一「だってここ、ネット繋がらないし。」

歩はスマホを置いて「オフゲーしててもツマランし。」と言うと「基本的にゲームする気もあまり無い。」

クリム「だよねー。」

アッシュ、テーブルに突っ伏したまま溜息ついて「…やっぱ戻るのかなぁ…。」

進一「源泉石採掘も終わったし…する事ないから向こうに戻るしか。」

アッシュ「だよなー…。」と言うと「戻るのが鬱だ…。」



レッドコーラルの食堂ではクォーツと輪太とカイトが、シトリンから来た綱紀とジュニパーと一緒にお茶をしている。キッチンではフェンネルがシェルリンと一緒に昼食の準備中。

綱紀はお茶を飲むと溜息ついて「やっぱり同調探知は疲れるなぁ…。」

ジュニパー「でも前に比べたら相当上達したじゃない!」

クォーツ「うん。かなり良くなった。」

綱紀「でも逆に、前は出来てた聖司との同調は全くできなくなっちまって。」

ジュニパー「それは今後の話よ。」

綱紀「…うん。」と言うと微笑んで「聖司と離れるなんて、以前の俺だったら半狂乱になってたな。」

その言葉にジュニパーが頷きつつしみじみと「そうよねぇ…。」

綱紀「前は自分が失敗作のダメな奴って思ってたから、他の奴が皆、俺をバカにしてるように見えた。だけどそれは自分が、そう思ってたからだったんだなって…。自分が自分の事を信じてたら、仮に他の奴が俺をバカにしても、それを受け入れない。」

ジュニパー「ホントそうよ、そうなのよ!」とテーブルをパンパンと軽く叩きつつ「アタシなんて、どんだけ変な目で見られても自分は自分を愛するって心に決めて生きて来たの!…でもねぇ、カルちゃんにハグを拒否されるとちょっと心が痛むの…。」と溜息をつく

クォーツ「…あれはあれで親愛の表現のような…。」

ジュニパー「そう?」

綱紀、何気にポツリと「…黒船の船長さんとか、凄いですよね…。」

話を聞いていた輪太やカイトも大きく頷く。

カイト「人間の船長ですら、管理にビビるのに。」

ジュニパー「管理に叩かれる覚悟の上で船長になったからだと思うわ…。」

輪太「あと、信じてくれる人が居るからだと思います。…あの人間用の船長制服、駿河船長が着てた制服なんですよね。」

ジュニパー「そうよそれも大事よ!」と言って綱紀を見ると「愛してるわ綱紀ちゃん。貴方はステキな探知なの!」

綱紀、微妙な笑顔で「…は、はい。」と返事すると「いつか、ドゥリーさんに指導してもらいたいな…。」と呟く。

輪太「ドゥリーさん?」

クォーツ「カルロスさんの同調探知の師匠だよ。」

綱紀「この間、ブルートパーズでアドバイスしに来た。」

輪太「ああー!あの人が」

そこへ、食堂にサイタンが入って来ると、ジュニパー達を見て「…何でシトリンのが居る?」

クォーツ「綱紀さんが同調探知の練習をしたいというので。」

ジュニパー「ちょっとお邪魔したの。」

綱紀「あっ、でももう昼ですね。退散しなきゃ」と言い立ち上がる。

輪太「お茶のカップは僕が片付けますから置いといて下さい。」

クォーツ「ちなみに午後もやる?もし予定が無いなら…午後どうなるんだろ。」

するとサイタンが「午後は船長連中が、また本部に行くんだとよ。お蔭で何にもする事がねぇ。…あー…。」と言ってキッチンの方を見るとフェンネルを指差して「おいアンタ。また食いモンとかの買い出しに行くって言ってたぞ、2時近くに。」

フェンネル「アンタって誰ですか!」

サイタン「…フェンネルさんだよ!船長と一緒に行きやがれ。」

フェンネル「はいはい!」

クォーツ、綱紀に「…午後も練習する?」

綱紀「練習出来るなら、したい。都合が合えばブルーの礼一さんも入れて。」

ジュニパー「出来たらアンバーと黒船も…カルちゃんはどうかしら…。」

サイタン「ちなみに黒と茶色は選考に落ちたが、カルセドニーは合格したぜ。」

一同「!」

ジュニパー「あらぁ流石はカルちゃんの船、多分行けると思ってたわ!」

綱紀「流石ですよね。」

サイタン「でもあの船、採る奴が一人しかいねぇ。…探知が凄くてもよ…。」

クォーツ「確かに。しかし黒船も落ちたのかぁ…。」

輪太「難しいんですね…源泉石って。…護さん、凄いなぁ。」

カイト「タダモノではない。」

サイタン「とりあえずメシだ。」と配膳カウンターの前へ行く。

ジュニパー、クオーツに「じゃ、お昼食べたらまたレッド集合?」

クォーツ「うん。」



ブルーの食堂では既に昼飯が始まっている。一同無言でダラダラと鳥の唐揚げ定食を食べていると、食堂に武藤と満と礼一が入って来る。

礼一「ただいま戻ったぜーい!」

進一「おかー」

礼一「すげーよカルセドニー受かっちまった。」

アッシュ達「!」ビックリ

進一「黒船は?」

礼一「黒船とアンバーは落ちたなー。なんかアンバーの分を黒船に回してもダメだった。」

アッシュ「えっ、つまり二隻分合わせてもダメだったの?」

礼一「全部じゃないよ。最終日の分だけそうしたんだけど、他船の追い上げ凄くて届かなかったと。」

アッシュ「へぇー…。」と言うと「…護さん、すげーな。」

すると歩が「…真面目だからな、あいつ。」と言い若干溜息交じりに「それだけ情熱かけられるのが、羨ましい。」

その言葉にアッシュ達、少し驚いたように歩を見る。

アッシュ「…情熱、か…。」

進一、溜息ついて「前はゲームに情熱あったけどー!」

クリム「でもゲームに情熱燃やしても…。プロのゲーマーになる訳でもないし…。」

武藤はキッチンへ歩いて行くと「メイさん、午後、食材買い出し行けるぞー。今度は5隻一緒にお買い物だ。1時40分頃に俺と一緒に本部へ行こう。」

メイ「おお5隻で!了解です。」

進一、武藤の方を見て「船長!午後の予定は?」

武藤「船長連中は2時から有翼種とお話、船は2時から順次、給排水へ。後は未定。」

進一「つまり午後もヒマという事かー!」

アッシュ「ゲームも飽きたし、どーしろと!」

途端に満が驚愕して「な、なんだと…。お前達が、ゲームに飽きただと…?!」

アッシュ「なんかヤル気が出ないんです。なんかこう…、鬱だ…。」



午後2時近く。

剣菱が、調理師のアキと一緒に本部の前にやって来ると、既に武藤とメイ、楓とフランキンセンス、総司とジュリア、そして有翼種のタオとミノルが待っていた。

剣菱「あとはレッドだけか。」

するとジュリアが「…穣さんも来たら面白かったのに。」

剣菱「何で?」

ジュリア、有翼種のミノルを指差し「彼女、買い物に付き合ってくれる方なんですけど、名前がミノルさん。」

武藤「で、俺も実で。」

剣菱「つまり人工種の穣が居ると三種族揃ったって事か。」

ミノル「人工種の穣さんってどんな人なのか見たかった。」

アキ「いつもハチマキしてる人よ…。…あ、私はアンバーの調理師のアキ、宜しく。」

タオ「私はタオ、宜しく。」

そこへ楓が「あ、レッド来た。」と通路の先を指差す。見れば南部とフェンネルが若干走って一同の方にやって来る。

二人は本部前に到着すると、南部は腕時計を見て「何とか間に合った。」

タオ「じゃあ5隻揃ったみたいだから、買い物組は行きましょうか。」

フェンネル&ジュリア「はーい!」

フラン「行こう行こう。」と歩き出す。

アキ「じゃあ船長、行ってきます。」

メイ「行って来るよー!」手を振ってタオ達と一緒に歩き始める。

総司「行ってらっしゃい。」

剣菱「宜しくー!」

船長5人は一同を見送る。そこへ本部の中から男の有翼種が出て来ると「ここに居たのか。」

総司、その男を見て「あっ、バートンさん。」

剣菱、総司に「…どなた?」

総司「護さんがずっとお世話になってる石屋の方です。」

剣菱「ほぉ!」

バートン「皆さん集まってますね、ではこちらへ…。」と言って隣の建物へ歩こうとしてふと一同の方に振り返り、「服の色で判断しちゃったけど、ちゃんと5隻揃ってますよね?」

総司笑って「揃ってます。」

武藤「揃ってまーす。」

剣菱「便利な制服だ。」

バートンは隣の建物のドアを開けつつ「ここはスタッフの休憩所なんですけど、奥に一応会議室がありまして。」

中に入ると広い空間に長机と椅子がいくつか置いてあり、奥の机では3人の女性有翼種がお茶を飲みつつ談笑している。5人の船長に気づくと、ちょっと微笑んで会釈をする。

バートンは部屋の奥へ進み、突き当たりの壁の右側にある木の引き戸開けると5人に「どうぞ中へ。」

総司を先頭に5人は中へ入る。

12畳ほどの、片側に窓のある四角い部屋の真ん中に、木で出来た大きな長いテーブルが置いてあり、その周囲に丸椅子が多々置いてある。窓際に壮年の男の有翼種が二人立っていて、一人は茶色い革で出来た大き目の四角い手提げカバンを持っている。総司達に気づくと椅子を勧める。

有翼種「どうぞそちらの好きな所にお座り下さい。」

総司「では…D1から順に座りますか。」と言って、剣菱を先頭に総司、武藤、南部、楓の順に椅子に座る。

壮年の有翼種二人は、一同と向かい合うように座ると、バートンも入って来て二人の横に座る。

カバンを持った有翼種は、それを机の上に置くと一同を見回しつつ「まずは源泉石採掘、ありがとうございました。あの石は採れる機会が限られているので、採れる時に出来るだけ沢山採っておきたいものですから、多くの船、採掘師に参加して頂ける事は、非常にありがたい事なんです。」と言うと、「私は石屋組合のセリカ、こちらは老舗石屋のラッツォ。」と隣の有翼種を紹介する。「あとその隣が石屋のバートン。」

バートンはラッツォを指差して「いつもカルセドニーのマルクト石を買ってるのが、ここ。」

一同「!」

ラッツォ、ニコニコしながら「お蔭様で、良いマルクト石の取引をさせて頂いております。時間がある時には駿河船長とお茶をしたりしますよ。」

総司、目を丸くしつつ「…そうなんですか…。」

セリカは「皆さんをお呼びした理由は。」と言って机の上に置いたカバンから、何かが入ったA4大の封筒をいくつか取り出すと「今回の源泉石採掘で、皆さん本当に頑張って頂いたので、…ケセドの石屋との取引許可を差し上げたいと思いまして。」

船長5人、一同驚愕して目を丸くする。

セリカ「オブシディアンとアンバーには以前、限定的に許可しましたが、今回はケテル石や、他の石も」

そこで思わず剣菱が「ケテル石ですと?」と驚きの声を上げ「ケテルはイェソドにとって大事な石でしょう!」

セリカ「ただし他の3隻には、残念ながらケテルの許可は出せません。」

剣菱「…黒船とアンバーは、勝手にケテルを採っても良い、と?」

セリカ、頷いて「そして自由に売って構いません。人間側の世界で売っても大丈夫です。」

剣菱「いやいや。」と手を振って「人間側の世界ではケテル石を扱えませんよ…。石を殺すだけです。」

そこへバートンが「でもほら、カルセドニーが家を建てると頑張っているし。仲間で協力してケテルを採れば…。」

剣菱「…あいつは自分の力だけで稼いで頑張りたいんじゃないかな…。」

ラッツォも「聞いたよ、ケテルは人間側の世界だと、相当高く売れるんだろう?…何か困った時に」

剣菱「うーん…。お気持ちはありがたいが、いいのだろうか…。」

すると総司がツンツンと剣菱の腕をつついて「…せっかくですから喜んで頂いておきましょう。別に採れと言われてる訳じゃないんで…。」

剣菱「あ、まぁ、そうだな。…採らないにしても許可を頂いておけば、何かの時に…。」

総司「はい。」

セリカは「分かり易いように、色の付いた封筒を用意して来た。」と言うと、各船長の前に封筒を差し出しながら「…そちらの世界で色々と事情はお有りでしょうが、もし良ければ取引をさせて頂きたい。」

船長達はそれを受け取ると、中を確認する。

総司「取引許可証と、取引できる鉱石一覧と…これは何でしょう?」と言いつつ銀色の少し厚みのあるハガキ程の大きさの封筒を取り出す。封筒の中を見ると二つ折りにされた台紙が入っている。その台紙を引き出した総司はそこに印刷された文字を見て目を疑う。

セリカ「いちいち現金払いするのも大変ですので。」

総司「まさか銀行…。」

途端に隣で自分も銀色の封筒を開けようとしていた剣菱が「えっ」と声を上げる。

二つ折りにされた台紙の内側に、カードが挟まれている。

セリカ「今後はそちらに振り込んでおきますから。」

思わず船長一同、唖然とした顔でセリカを見る。

総司「あ、あの、…駿河さんが銀行口座開設に相当苦労したと聞きましたが…。」

セリカ「彼は人間ですからねぇ…。」

ラッツォ「って彼らも人間だな。」と剣菱を指差す。

セリカ「ああ、そうだった。…まぁ取引するのに口座が無いと困るので、特別な口座を設けました。勿論、現金払いも対応しますが。」

ラッツォ「ウチはずっと駿河さんに現金払いだよ。なにせ駿河さんの口座が無い時から取引してるからね。あの人はウチでお金貰って茶飲み話しながら給料計算とかやって銀行に振り込みに走るのが、恒例行事になってしまった。」

総司「はぁ…。」

そこへ武藤が書類を見つつ「あ、これは採掘禁止の石についてか。」

バートン「なぜ採掘禁止なのか、よく読んで頂ければ。」

ラッツォ「そういえば、人間側の世界には妖精が居ないらしいねぇ。」

武藤「居ません。」

ラッツォ「妖精は、とても大事な存在なんだよ。自然のバランスを護っているから。」

バートン「例えばの話…。」と言って少し考えると「源泉石を、重機を使って力づくで採ったらどうなると思う?」

武藤「…まさか自然災害、ですか?」

バートンは頷き「石が粉々に砕けようが、とにかく量を採ればいいと力づくで乱雑に採れば、それは自然破壊であり、後々皺寄せが来る。…源泉石に限らず何でもそうだ。イェソド鉱石だって、機械等で無理に採ったら自然界のエネルギーバランスが崩れて妖精は消え、災害が起こるだろう。」

すると南部が「では、もし仮に人間が源泉石を必要とするなら人工種を頼るしかないと言う事ですか?…人間の機械技術では、採ってはならないと…」

バートン「もし重機を使うなら妖精の言う事を聞こう。」

南部「…はぁ。」

バートン「妖精が居ないなら、エネルギーの流れが分かる人工種の言う事を聞こう。」

ラッツォ「つまり、自然の言う事を聞けと。だって我々を生かし育んでいるのは自然の生命エネルギーだ。それを大切にしないと、我々が困る事になる。」

南部「…そう、ですね…。」と言い「人間にも人工種のような能力があれば。」

ラッツォ「あると思うよ?…だって生きているじゃないか。」

南部「えっ?」

ラッツォ「貴方だって自然の一部なんですよ。だって生き物でしょう。」と言い笑って「以前、この話を駿河さんとした事がある。彼も貴方と同じ反応をしていた。キョトンとして!」

南部「…。」

ラッツォ「どうやら人間という種族は、自分達が自然の一部だという事を忘れたらしいねぇ…。」

バートン「だから妖精の居ない世界になってるんだろうな。」

ラッツォ「まぁ駿河さんが言うには、その代わり人間は、それを補う色んな技術を編み出した。それで人工種という種族が生まれたと。」

バートン「そういう一面はあるか。」

そこへセリカが「そろそろ話を戻して…。」と言うと「まぁ皆さんにわざわざ来て頂いたのは、その取引許可の件が第一なのですが、もう一つ、全く別口からの要望がありましてね。」と言って一旦言葉を切ると「実はコクマの研究機関や大学の学生たちの中に、人工種について学びたい、研究したいという人が何人か出て来て、人工種について詳しい先生をイェソドに招きたいが、可能かどうかという話なんです。」

船長一同「…。」

剣菱「それは…一旦、向こうに戻ってからじゃないと…。」

セリカ「勿論、急ぎの話ではありません。いつでもいいのでご一考下さい。…私は単なる取り次ぎなので詳しい事は分かりませんが…」

ラッツォ「ダアトに行きたいという人も居たね。」

セリカ「ダアト?」

ラッツォ「人工有翼種の遺跡だよ。前に新聞に載って…ああ号外だ、人工種が来た時の。…最近それを研究したいって人が居るってニュースで見た。」

セリカ「とりあえず先生をお招きする件について、何かあったら我々に言って下されば取り次ぎしますから。」

剣菱「…はぁ。」

セリカ「話は以上なのですが…。」と言って5人の船長を見ながら「ご質問などは?」

剣菱「…質問も何も予想外な事ばかりでビックリしすぎて。」

総司「今の所は特に…。」

セリカ笑って「まぁまた何かありましたら、こちらに来て頂ければ。」

バートン「明後日くらいまでは、店じゃなくここにいるから。あ、ちなみに我々の店の場所はカルセドニーの連中が知ってるので、あの3人に聞いて下さい。」

セリカ「では、この辺でお開きにします。」


暫し後。本部の隣の休憩所の扉が開くとバートンが出て来る。続いて封筒を持った総司や剣菱達が出る。

バートンは「では」と言って再び休憩所の中に入ると、扉を閉める。

5人の船長達は駐機場に向かって歩き始める。

楓「…驚いたー…。もうホントに予想外でビックリ。」

武藤「ビックリしたなー…。」

南部「冒頭に、源泉石採掘ありがとうと言われて、目が点になったよ。ちょっと信じられなかった。」と言うと「イェソドとジャスパーで、こんなに世界が違うのか…。」

剣菱「いやジャスパーの採掘船本部はな、ジャスパーの中でも特別に、おかしいと思うぞ!」

総司「同感です。」

南部「しかし…取引許可が降りたのは、有翼種に認められたという事なのかな」

剣菱「あったり前だろう!」

南部、溜息ついて「皆、凄かったんだなぁ…。私が何もしなくても…。」

剣菱「アンタは管理に洗脳されすぎだ!」

総司「…ところでこれから船に戻って、この後どうします?」

剣菱「なんかもう面倒だから5隻全部レッドに集合で、説明会!」

南部「えっ。ウチの船?」

剣菱「だって探知講習会の第二弾開催中だろ?」

南部「ああー…それで探知の人が集ってたのか…。」

剣菱「アンタのとこの春日さんから緊急電話でマリアさんに呼び出し来たわい。」

武藤「うん、春日さんから連絡来て礼一が行った。」

総司「同じく上総が行った。」

南部、溜息ついて「もうね、私は置き物船長なんですよ…。見守ってるだけの。」

剣菱「監禁船長よりはマシだ。…あれ?そういや今、船は給排水の時間では。」

総司「あー!」

武藤「んじゃ駐機場に残ってる船で待つって事で。」

総司「そうしよう。」