2023.06.05 12:00最終話それから5日後の朝7時。イェソドのターさんの家の玄関前の庭木の下では護が野鳥たちにエサをやっている。そこへ右肩にゴツゴツ妖精を乗せたカルロスが近づくと、頭に鳥を乗せた護を見て「随分、懐いたな。」と言った途端、野鳥が頭の上からバッと飛び立つ。護「カルさんも懐かれてるじゃん、お石様に。」カルロス「…まぁな。しかしアンバーなかなか来ないな。7時になるのに。」護「見...
2023.06.03 12:00第23章 02翌日、午前10時。カルセドニーがジャスパー本部にやって来て、鉱石集積所の前に着陸すると、いつものように護が鉱石コンテナを降ろす作業を始める。テキパキと満載されたコンテナを全て降ろすと集積所の小部屋に入り、今度は畳まれた空のコンテナをカルセドニーの貨物室に積む作業をする。全ての作業を終えると、カルセドニーは貨物室の扉を閉じて再び上空へ上がり、採掘船本部の近くに...
2023.06.01 12:00第23章 015隻の船はブルーを先頭に、レッド、シトリン、アンバー、黒船の順に一列に並んで真っ白な雲海を飛び続ける。黒船のブリッジでは静流が操船を担当し、ネイビーが船長席に座っている。そこへノックと共に入り口のドアが開き、ジェッソがブリッジに入って来ると、「あれ。」とネイビーを見て驚く。ネイビー「船長、なんか疲れたからちょっと交代してくれって。上総君も、する事ないから休憩...
2023.05.30 12:00第22章 03午後1時半、死然雲海の中の遺跡。ブルー、レッド、シトリンの3隻が、広場の中央に船首を向けて並んで着陸している。各船の船首の前にはコンテナが積んであり、メンバー達がそのコンテナ周辺をウロウロしている。サイタン「遅っせぇな黒船…まだかよ、もう1時半とっくに過ぎたぞ!」クラリセージ「もうすぐ来ますよ、向こうは1時半に駐機場を出るんだし。」サイタン「とっとと来いー!...
2023.05.28 12:00第22章 02翌朝8時半近く。アンバーの上部甲板ハッチが開くと、私服のマゼンタが出て来る。続いて穣や悠斗たちも続々出て来て甲板に上がる。マゼンタ達は3隻の方を見る。マゼンタ「向こうから見えるかなぁ…。」悠斗「3隻側でも甲板に誰かが出てきてくれたら…あっ!レッドの甲板、誰か出て来た!」マリア「クォーツ王子!」マゼンタ&悠斗「王子?」マリア「レッドの探知は王子様なの。ブルーの...
2023.05.26 12:00第22章 01午後5時過ぎ。カルセドニーの船長部屋のベッドでは、護がスヤスヤと寝ている。キッチンフロアではカルロスが椅子に座って本を読みつつ石茶を飲んでいて、その上のロフトには駿河が横になってゴロゴロしている。駿河、仰向けで横になったまま「カルさん今、何時?」カルロス「ん。」と時計を見て「17時過ぎたな。」駿河「夕飯どうする?」カルロス「街で食うか。…17時半になったら護...
2023.05.24 12:00第21章 03その頃のレッドコーラル。採掘準備室でサイタンが叫ぶ「だから管理をブッ潰そうぜー!」満「だが管理を潰せば我々の仕事が…。」陸「仕返しが恐い…。逆襲されたらどうしよう。」採掘準備室にはサイタンやウィンザー達の他にブルーの満やアッシュ達そしてシトリンの陸やターナー達も居て、皆が円になって床に座り、サイタン以外は完全に意気消沈して深々とうな垂れている。ウィンザー、溜...
2023.05.22 12:00第21章 02一方その頃。駐機場のブルーアゲートの食堂では、アッシュ達がコーヒーを飲みつつグタグタしていた。アッシュ、テーブルに突っ伏しつつ溜息ついて「…ヒマだー…。」進一も「ヒマだなー…。」歩は黙々とスマホで何かをしている。キッチンではメイが昼食を作っていて、マリンがそれを手伝っている。アッシュ「…メシ食ったら何すんだろ…。」進一「さぁー」と言ってコーヒーをズズズとすす...
2023.05.20 12:00第21章 01朝7時。ケセドの駐機場に停まっているレッドコーラルの食堂に、メンバー達がゾロゾロと入って来る。配膳カウンターから朝食のハムエッグ定食を受け取ると、テーブル席に着いたり、または朝食を持って自分の船室へと去って行く。ウィンザーは朝食を持ってサイタンの隣の席に座りつつ「今日は一体どういう予定になるのかなぁ。」サイタン「黒船の出迎えしたい奴は、するんじゃねーの。」と...
2023.05.12 12:00第19章 04一方その頃、アンバーの貨物室では、黒船からアンバーへ運び込まれた源泉石柱を見て護が唸っていた。護「これ先端部分だけ残ったのかー…。下が砕けてしまって」と言いつつ屈んで石柱を触りながら「惜しい惜しい。」すると悠斗が「何が惜しいの?」護「これ上物の等級8だよ多分。9に近い8って奴。」その言葉に、近くに居たアンバーメンバー達が衝撃を受ける。悠斗「なっ、な、ん、だ、...
2023.05.10 12:00第19章 033隻の船は、薄曇りの雲海の中、峡谷の入り口の荒れ地に着陸する。10分後、駿河と護がカルセドニーから出て来る。二人が黒船のタラップを上がって採掘準備室に入ると、穣が待っていた。穣「お疲れさん!…カルロスは?」護「石茶タイムだから行かないって。」穣「あらま。茶菓子用意してたのに。」護「へ?」穣は階段室へと歩き始めつつ「カル船の皆さんがお疲れだろうからって、食堂で...
2023.05.08 12:00第19章 02カルセドニーは風に煽られてかなり左右に振れつつ真っ白な雲海の中を飛んでいるブリッジではカルロスが操縦席の椅子に掴まりながら必死に「2時!…11時!…3時!」駿河「風が強えぇぇい!メッチャ流される、しかも視界ゼロってどんな!」カルロス「少し高度上げろ!…うわ!」と大きな揺れで、よろめく。護「…カルさん、座ってシートベルト締めたら?」カルロス「その椅子、横向きだ...
2023.05.06 12:00第19章 01午後1時。強風の吹く狭い渓谷を飛んでいるカルセドニー。ブリッジでは駿河が真剣な顔で操船に集中している。操縦席の左側に立つカルロスはホワイトボードに描いた図を示しつつ「今ここ。」駿河、それをチラリと見るとすぐに計器に目を戻し「風が更に強くなった。」カルロス「行けそうか?」と言った途端、船がグラッと揺れてカルロスが若干よろめく。駿河「行けるけど、揺れるからどっか...
2023.05.04 12:00第18章 03一方、ブルー、レッド、シトリンの3隻はゴツゴツした大きな岩が並ぶ荒れ地の岩山の麓で採掘をしていた。白く光る源泉石の巨大な壁を、シトリンでは要が発破で亀裂を入れ聖司がツルハシでそれを崩し、ブルーではアッシュと進一がツルハシで壊し、レッドではサイタンがツルハシや斧で崩して、崩した源泉石は他のメンバー達が、どんどんコンテナに入れて行く。ターナーは崩した源泉石をシャ...
2023.05.02 12:00第18章 02翌朝、6時半。レッドコーラルの採掘準備室にメンバー一同が並んでいる。南部は一同の前に立つと、「皆さん、おはようございます。」一同「おはようございます!」南部「…今まで6時半に朝礼した事あったかなと考えてしまったんですが、皆さん眠くないですか?」サイタン「んな訳ねぇだろ!」ウィンザー「船長が眠いんじゃないですか?」南部「いや眠くはないが。では後は採掘監督、どう...
2023.04.30 12:00第18章 01翌日、選考6日目の午後1時。3隻の採掘船がケセドの源泉石置き場に戻って来ると、誘導された位置に着陸する。各船タラップを降ろして源泉石柱やコンテナを運び出す。同時に下で待っていた有翼種達がそれをチェックしつつ大型の台車に積み始める。3隻のうち、最初にシトリンが積み荷降ろしの作業が終わる。シトリン担当の有翼種、アンさんが陸に「これで全部かな?」と確認。陸「はい。...
2023.04.22 12:00第16章 02一方、その頃カルセドニーは。霧深い森の中、一本だけ生えている源泉石柱を採ろうとしている護。駿河とカルロスが護の背後に立ってその様子を見ている。石柱は、護の腰の高さ程でそれなりの太さがある。その平らなてっぺんを触っていた護は、屈んで側面をコンコンと叩き、傍らに置いた白石斧を取って刃を石柱の側面に当てる。そのまま暫しじっとしてから立ち上がると、今度は斧を石柱のて...
2023.04.20 12:00第16章 01暫く後。5隻の採掘船は死然雲海に入り、アンバーを先頭にシトリン、レッド、ブルー、黒船の順に一列に並んで飛んでいる。ブルーのブリッジ前の通路ではプチお茶会が開かれていた。ジェッソや何人かのメンバーがお茶の入ったマグカップを手に持って時々飲みながら話をしている。メイがお菓子を入れたバスケットを持っていて、時々メンバーにお菓子を渡している。メイ、ニコニコしつつ「お...
2023.04.18 12:00第15章 02その頃、武藤たち3人が居る狭い会議室では。満「…我々はいつまでここにいるのでしょうか…。」管理「だから、黒船が出るまでだよ。」満「なにゆえに」管理「そういう事になってるんだ。」と言って、ふと春日を見て「おい。」春日「はい?」と眠そうな目で管理を見る。管理「今、欠伸しただろう。誤魔化そうとしてもわかる。」春日「…だって、いつまでここに居るのか…大した会話も無く...
2023.04.16 12:00第15章 01翌朝7時。レッドコーラルのタラップを上がったティーツリーは、そこにクォーツの姿を見つけてちょっと驚く。ティーツリー「随分早いね!おはよう。」クォーツ「たまたま春日さんと一緒に来たんです。俺が船内に入れるように先にタラップ降ろしてくれて、それから春日さんは事務所へ。」ティーツリー「何だ、それなら俺もっと早く来るんだった。」クォーツ笑って「まぁちょっと、時間早す...
2023.04.14 12:00第14章 02夜8時すぎ。所変わって周防紫剣人工種製造所(SSF)。門の前にクォーツが一人、立っている。周囲には人気が無く、通りを走る車も滅多に無い。街灯の明かりに照らされた道の端に、グレーのコートを着て小さ目のビジネスバッグを持った、メガネを掛けた背の高い男の姿が現れる。クォーツはその男をじっと見る。男はメガネに手を当て「…ここでいいのか。」と呟くと、小走りにクォーツの...
2023.04.12 12:00第14章 01翌朝7時半、ケセドの街の駐機場にて。アンバーの採掘準備室では一同が揃って朝礼をしている。剣菱「…聞いて下さいよ皆さん。昨日、どこぞの船長が8時に出る予定って言ってたから、ウチの船は少しずらして8時半に出るかなぁと言ったのに、あの黒い船、7時にブッ飛んでった…。」穣「策にやられましたね。」剣菱「策ってか、嘘ついちゃイカンだろ!全くもぅ!…悠斗君、健君、良太君!...
2023.04.04 12:00第12章 02カルセドニーはアンバーを引き連れて雲海の中を飛ぶ。徐々に雲海が薄くなって、下にぼんやりと川が見えて来る。蛇行した川の外周の、水で削られて崩れた岩が散在する場所の上空に到着すると、カルセドニーは岩塊の上すれすれまで降下してそこで船を停める。搭乗口が開いて護とカルロスが出て来る。カルロスは崩れた岩々の先の崖を指差し「あそこ。」護「こりゃコンテナ置けないから袋詰め...
2023.04.02 12:00第12章 01翌朝6時40分。イェソドのターさんの家の前にはカルセドニーを真ん中に挟んで黒船とアンバーが並んで停泊している。家の前の庭木の近くでは護が野鳥にエサをやっている。手に持ったヒマワリの種を、野鳥が入れ代わり立ち代わり取って行く。そこから少し離れた所では、駿河が穣とジェッソと話をしていた。駿河「…なるほど、管理の邪魔で…。」と言って溜息をつくと「それで3隻が居ない...
2023.03.31 12:00第11章 02ブルーアゲートの採掘準備室では、タラップ側を遮るように一列に並んだ管理達と向き合うようにブルーメンバー達が並び、何かを待っている。そこへ階段室から武藤が焦ったように走り出て来ると、息を切らしてメンバー達の前に立ち、管理と向き合う。武藤「な、何事でしょうか?」管理の中の一人が武藤の前に歩み出て「船長。これからどこへ?」武藤「…採掘へ。」管理「どこへ、と聞いた。...
2023.03.29 12:00第11章 01翌日の18時過ぎ、採掘船本部の駐機場。黒船のブリッジの船長席で、計器のチェックをしているネイビーの所に総司がやって来る。ネイビー、少し驚いて「あら。早かったわね。」総司「事務所で、特に何事も無かった。…絶対、管理が何か言って来ると思ったんだけどなぁ…。」ネイビー「何事も無いならそれが一番。」総司「それはそうだが、管理の妨害対策に運行クルーの乗船時間を早めてし...