2023.03.27 12:00第10章 02翌日、朝8時55分、採掘船本部の駐機場。ショルダーバッグを肩に掛けたカルロスが、アンバーのタラップを上がって採掘準備室に入ると…。ジュニパーが突撃してきて「おはようカルちゃー…」カルロスはハグしようとしたジュニパーをサッとかわして「距離感は大事!おはよう。」と言いつつ、既に並んでいる一同の方へ歩く。穣「カルロス来たから全員揃った。あとは船長が来れば」と言い階...
2023.03.25 12:00第10章 01同時刻、レッドコーラルの船長室。ワイシャツ姿の南部が、壁際に備え付けられた机の前の椅子に座ってボーっとしている。入り口の扉は開け放たれ、カイトがそこに座り込んで、また本を読みつつウトウトしている。南部(…なぜ、こんな…。レッドの船長になってもう10年以上も何事も無くやってきたのに…。)そこでメガネを外して机の上に置くと、暫し虚ろな目であらぬ方向を見ながら、静...
2023.03.23 12:00第9章 03暫し後。一同は昼食と休憩を終えて、再び採掘場へ出て来る。レンブラント「さて、後はシトリンと黒船とカルセドニーの分か!」ジェッソ「まずはシトリン分だ。黒船の貨物室を満杯にするぞ。もう少し積めば終わる。…昴、向こうの壁を崩してくれ。」と左側の鉱石層の崖を指差す。昴「おっけー。風使い準備!」メリッサ「はーい」夏樹「うい。」すると突然カルロスが「待ったぁぁ!」と叫ぶ...
2023.03.21 12:00第9章 02雲海の中の遺跡では、3隻のメンバーが集って昨夜渡された源泉石採掘の要綱を見つつ勉強会を開いていた。周囲に転がっている岩を持ってきて椅子代わりにし、何人かのメンバーはそれに座っている。ウィンザー、要綱の冊子を見ながら「スタートする時って5隻それぞれ別の方向に飛ぶ事になるのか…。」ティーツリー「え。どんな風に…。」春日「これだな。」と冊子に描かれた地図を指差して...
2023.03.19 12:00第9章 01翌朝7時45分、ジャスパーの採掘船本部。事務所に剣菱が入って来て「おはようご」と言った瞬間、戸口近くに居た管理がバッと剣菱の前に来ると管理「4隻が帰って来ないのだが。」剣菱、思わず「は?」管理「アンバーは帰って来るんでしょうな!」剣菱、目をパチパチさせて「…意味がワカランのですが。」と言いつつ(また何か無理難題到来…?)管理「昨日の件をご存じ無いと?…嘘を付...
2023.03.17 12:00第8章 04夜9時。夜の闇に包まれた死然雲海の中、遺跡の広場だけが採掘船のライトで明るく照らされている。そこへ黒船がやって来ると、空いている場所に着陸する。真っ先にタラップから降りて来た護を駿河や武藤たちが出迎える。護「ただいまー!」駿河「お帰り。メシ食った?」護「黒船でご馳走になった!ちなみにターさんは家に帰った。」駿河「なるほ。じゃあこれからミーティングするかー!」...
2023.03.15 12:00第8章 03その頃、レッドコーラルの船長室では。既に手首の縄を解かれた南部がベッドサイドに腰掛けて深くうな垂れたまま、微動だにしない。開け放たれた船長室のドアの所にはカイトが床に座り込んで、本を読みつつウトウトしている。ついにカイトの膝上に置いた本が、手の支えを失ってバサッと床に落ちる。その音にカイトは目を覚ましてファァと欠伸をする。眠たげに目をこすっていると、「眠いな...
2023.03.13 12:00第8章 02黒船の出発を見送りつつ、駿河とカルロスはカルセドニーの船体近くの丁度良い大きさの岩に腰掛けて、他船のメンバー達をボケッと眺める。駿河「なんか疲れたな。管理が突然、妙な事をするからだ…。」カルロス「石茶でも淹れるか…。」駿河「おや。」ふと見ると輪太と春日が駿河達の方に歩いて来る。春日、手を挙げて「やあ!」駿河、春日を指差して「何だかレッドも色々あったみたいです...
2023.03.11 12:00第8章 01雲海の中の遺跡らしき場所に着陸している5隻の採掘船。既に着陸していた2隻の前に広場のような場所があり、そこを挟んでレッド、黒船、シトリンが船首を揃えて横に並ぶ。各船のタラップから船長やメンバー達が出てくると、広場に集い始める。楓や陸たちの後からシトリンのタラップを降りて来たコーラルは、周囲の船を見て(うぉ。なーんか面白そうな事が起きそうな予感!)とワクワクし...
2023.03.09 12:00第7章 03所変わって死然雲海の中で待機中のブルーアゲートとカルセドニー。ブルー船内の食堂では礼一と歩が向き合って席に着き、お互いスマホを片手にゲームをしている。礼一、ゲームをやめてテーブルに突っ伏すと「オフラインは、つまらーん…。」歩「ここ管理波が無いからネット繋がらんしな…。」礼一「ゲームより外の探検したい。この死然雲海とかいう不思議世界を。」歩、ちょっと驚いて「そ...
2023.03.07 12:00第7章 02ハッチの階段を降りて船内通路に出たウィンザーは、クラリや春日に「サイタンを探して!」と言いつつ通路を走ってサイタンの船室へ。ノックをするが返事がない。ドアを開けて不在を確認すると元来た通路を引き返すが、途中の洗面所に誰かが居るのに気づいて、ふと見る。ウィンザー「輪太君。」輪太「あれ。皆、戻ってきたの?」春日は「俺、採掘準備室を見て来る」と走っていく。ウィンザ...
2023.03.05 12:00第7章 01その頃、ブルーとカルセドニーは死然雲海の中の荒れ地に着陸し、カルセドニーからブルーへ燃料補給を行っていた。護がカルセドニーの貨物室から鉱石コンテナを運び出し、マリンがそれを台車に積んでブルーの鉱石貯蔵室へ運ぶ。そこへ駿河が来て「ウチは3箱あればいいんで、あとは全部ブルーに。」護「うん。足りなくなったらイェソドで採れるしな。」駿河「作業が終わったら、お昼ご飯ど...
2023.03.03 12:00第6章 04一方、管理の船に追われ続けるカルセドニーのブリッジでは。イライラしながら必死に操船する駿河とは対照的に、呑気な顔で操縦席の後ろにボケッと立っている護と、目を閉じて何かを探知しているカルロス。駿河「…このままだと船体が傷だらけになる…。いい加減にしろ管理ぃぃ!」カルロス「落ち着け船長。」駿河「ウチの船の燃料切れを待ってたら日が暮れるぞ!」護「多分24時間は行け...
2023.03.01 12:35第6章 03一方その頃。死然雲海を飛んでいるカルセドニーの船内では、いつも通り小さなキッチンでカルロスが昼食のおにぎりを作っていた。慣れた手つきで次々と三角おにぎりを握っていたが、ふと何かに気づく。カルロス「船長。」耳に着けたインカムから駿河の声が返って来る『何か?』カルロス「珍事を発見した。黒船の近くに管理の船が大量にいるぞ。」駿河『へっ?…管理?ちなみに黒船までどの...
2023.02.27 10:40第6章 02レッドのブリッジでもクォーツが驚きの声を上げる「船長、本船の後方に管理の船が!」そこへリリリリと緊急電話のコールが鳴る。南部は受話器を取って「レッドコーラル南部です。」と言うと「…はい。なるほど。了解しました。」と言って受話器を置き「…黒船の意志を聞かねばならん。」クォーツ「意志?」南部、やや楽し気な表情で「我々をイェソドに連れて行く気があるのかどうかを。」...
2023.02.25 12:20第6章 013日後の朝。武藤がいつものようにスーツケースをズルズル引っ張りながら、重い足取りで本部に向かって歩いている。(…何だか知らんが突然、日時指定で管理様に呼ばれるとは何事…嫌じゃ嫌じゃ絶対ロクな事がねぇ…。)と思いつつ本部の建物内に入ると、そこで立ち止まり(あああ嫌じゃ嫌じゃ管理様の説教は聞きたくねぇ…。一体何を言われる…。俺、別に何もしとらんし!はぁもぅ俺も駿...
2023.02.23 12:00第5章 03数日後。夕方5時、人気の無い採掘船本部の廊下を剣菱が一人、重い足取りで歩いている。若干不安げな表情をしつつ(…管理に呼び出しを食らうのは久方ぶりだな。一体どういう用件だろうか…。しかも事務所ではなく会議室とは。)暫し歩いて『会議室』というプレートの付いた部屋の前に立ち、引き戸を開けて中に入った瞬間、目を疑う。剣菱(人海戦術かっ!!)部屋には事務用の長テーブル...
2023.02.21 13:00第5章 02一方、駐機場のレッドコーラルの採掘準備室でも朝礼が行われている。南部はちょっと溜息をつき「…毎日毎日、皆に頑張れというのも実に心苦しい所なのですが、本部からの要望があるので仕方がありません。なにせ最近は黒船の採掘量が落ちてきているので、我々が頑張らないと…逆に言えば皆さんは、それだけ期待されているという事なんです。ブルーのようにサボってばかりいると、本部に見...
2023.02.19 13:00第5章 01あくる日の朝。ジャスパーの採掘船本部の通路の一画で、南部が数人の管理達と話をしている。南部、驚いて思わず「…私が説得…?」と声を上げる。管理「前に言っただろう。黒船を3隻の方に引き戻す事が出来ればアンバーを牽制できると。その為に貴方に」南部「しかしどうやってブルーとシトリンを…。説得する根拠が。」管理「最近の黒船の状況を見ろ!採掘量が上がったり下がったり安定...
2023.02.17 13:03第4章 03その頃カルロスはSSFへの道をテクテクと歩いていた。カルロス(…石茶に合う菓子がわからん…そもそも俺は甘いもん食べないしな。とりあえずチョコを買ってみたが…合うのかどうか…)と買い物バッグに入れた小さな箱を見る。暫く歩くと『周防紫剣人工種製造所(SSF)』の門が見えて来る。門の中に入ると正面に三階建ての巨大な建物があり、左手側に駐車場、その駐車場の奥にちょっ...
2023.02.15 12:24第4章 02その日の夕方。採掘船本部近くの立体駐機場の中に、カルセドニーが駐機している。船体から数分歩いた場所にエレベーターホールがあり、護たち3人がエレベーターを待ちつつ、カルロスはスマホでどこかに電話をしている。カルロス「…では20時過ぎに伺います。それでは。」と言いスマホの電話を切ったタイミングで丁度エレベーターが来る。3人は各自の荷物を持ってエレベーターに乗り込...
2023.02.13 11:03第4章 01翌朝8時半近く。ターさんの家の前に並んで泊まっているカルセドニーとアンバー。アンバーのタラップから透が駆け下りて来ると、家の方に向かう。ふと見ると玄関から少し離れた庭木の下で、護が何かを持ってじっと立っている。透は護に近づきつつ「何を…?」その時、一羽の野鳥がバッと飛んで来ると、護の手から何かをくわえてサッと飛び立つ。護「エサやってる。ヒマワリの種。」と言っ...
2023.02.11 11:41第3章 02暫し後。ターさんの家の前に船首を並べて泊まっている2隻の船。家の玄関前では皆がバーベキューの準備をしている。コンテナをテーブル代わりに中央に置き、その上にテーブルクロス代わりのブルーシートをかける。それを囲むように折り畳み椅子や椅子代わりの小さなコンテナや木箱を置き、そこから少し離れた所にバーベキューコンロを二台置いて、透とターさんがコンロに火を点ける作業中...
2023.02.09 09:13第3章 01数日後。イェソド山の麓、ケセドの街の石屋街にて。様々な石が置かれた石材倉庫のような建物の一画にある事務所。受付脇に置かれた小さなテーブルを挟んで、丸椅子に腰かけた壮年の有翼種と駿河が向かい合って話をしている。有翼種はテーブルの上に手のひらサイズの布袋を置いて駿河の方に差し出すと「はい今週分。」駿河、「ありがとうございます!」と言ってそれを受け取り、中身を確認...
2023.01.27 09:51序章『人形が自己意志持ったら散々叩かれる羽目になった。』ジャスパー採掘船本部内の狭い会議室。無味乾燥な白い壁の四畳半の部屋に、小さなテーブルを挟んで簡素な折り畳み椅子が二脚。一方の椅子には人工種管理の制服を来た男が座っていて、背後に同じ制服を着た2人の男が立っている。テーブルを挟んだ正面の椅子には総司が座り、その背後にはジェッソが立っている。総司は非常にイライラ...